標本誤差と信頼度、調査結果を含む記事で必ずと言っていいほど出てくるワードです。この2つの概念が調査結果の信頼性に関連する指標であることは容易に理解できます。標本誤差が小さければ小さいほど、信頼度が高ければ高いほど信頼できると直感的に思い浮かべることができると思います。
しかし、この程度の理解だけでは、調査結果を解釈するのは難しいかもしれません。サンプル誤差±3%pが具体的にどのような意味であり、どのように算定された数値なのか、信頼度が80%なら信頼しにくいと考えるべきなのかなど、様々な疑問が生じることでしょう。今回は、標本誤差と信頼度の基本的な意味とその解釈方法を学びながら、Dataspaceの分析機能を使ったサンプル調査データで、実際にデータ分析にも取り組んでみましょう。
標本誤差について正確な知識を得る
標本誤差とは?
まず、標本誤差は、調査結果が実際の結果とどれだけ異なるかを示す指標です。例えば、全国2039人の男女の意識を知るために、約1,343万人全員を調査するには、時間と費用がかかりすぎるので、調査は母集団を代表できる一部のサンプルを抽出して行います。
サンプル選定の過程に偏りがなければ、調査結果は母集団全体の意見と傾向性が同じになるはずです。それゆえ、投票権を持つ市民全員が参加する選挙で、一部を対象にした世論調査や出口調査ができるのです。ただ、全員の調査ではないので、どうしても結果が100%正確なわけではありません。多少の誤差が生じる可能性があります。この誤差の大小を示す指標が、サンプル誤差です。
標本誤差の読み方は簡単で、調査結果の前後に標本誤差を引いて足すだけです。例えば、標本誤差±3%p(信頼度80%)である場合、自社のブランド認知度が70%であれば、(同じ調査を100回行った場合、80回は)67%~73%の認知度が出ると予想できます。(信頼度については後ほど詳しく説明します。)

標本誤差を減らすには?
多くの人に聞けば聞くほど、母集団全体の意見に近づくので、標本誤差は回答者数が多ければ多いほど小さくなります。しかし、調査にかかる時間と費用の負担も大きくなるというデメリットがあります。そのため、回答者数が少なすぎるとサンプル誤差が大きくなり、一人や二人の回答だけで結果が大きく変わる可能性があります。
故に、標本誤差を考慮して、回答者は多すぎず少なすぎないように募集することが重要です。調査の目的と時間や費用を考慮して決める必要があります。以下は、一般的にアンケート調査で回答者数を決める基準ですので、参考にしてみてください。ただし、これは絶対的な基準ではなく、B2B調査・海外調査など状況によって異なる場合がありますので、必要に応じて専門家に相談してみるのも良いでしょう。
💡回答者は何人くらいが妥当なのか?
統計的には、一般的にサンプル数が30人以上であれば有意であると言われています。しかし、マーケティング調査では、より安定した結果分析のために、分析したい最小単位(Cell)あたり最低100人以上を推奨しています。(サンプル100人の場合:信頼度80%でサンプル誤差は±6.4%p)例えば、2〜30代の男女の結果を年齢(10歳単位)、性別に分けて分析したいとします。そうすると、Cellは20代男性/20代女性/30代男性/30代女性の合計4つになります。このとき、全体の回答者はCellごとに最低100人ずつ、400人以上を募集するのが望ましいです。
信頼度について正しく理解する
続いては信頼度です。信頼度と標本誤差は切っても切れない関係で、先ほど標本誤差を見たときにもよく登場したと思います。信頼度は標本誤差より少し難しく感じるかもしれませんが、アンケートデータを見るときに必ず知っておいた方が良いです。
信頼度とは?
信頼度とは、調査を100回行ったときに、果たして何回同じ結果が出るかを表した数字です。例えば、信頼度80%は100回調査したら80回は同じ結果が出るという意味です。
信頼度は標本誤差にも影響します。回答者数が同じでも信頼度を変えると標本誤差も変わります。先ほどの例をもう一度見てみましょう。信頼度80%、サンプル誤差±3%pの調査で自社のブランド認知度が70%であれば、同じ調査を100回行ったとき、80回はブランド認知度が67~73%の間の値が出ていると読み取ることができました。しかし、同じ調査結果を信頼度95%の基準で見るとどうでしょうか?結果を100回中80回ではなく、95回当てなければならないので、誤差の範囲が広がります。そのため、回答者数が同じであれば、信頼度を上げるとサンプル誤差が大きくなるのです。
信頼度を上げると、データの差が十分に大きい場合にのみ有意義と解釈することができます。逆に信頼度を下げると、比較的小さな差も有意義と解釈できるようになります。簡単に言えば、競合ブランドの認知度が自社ブランドより5%p高い場合、これを大きな差と見るか、無視してもいいほど小さな差と見るかの違いです。
信頼度が高ければ良いというわけでも、低ければ悪いというわけでもありません。信頼度を高くすると、データの小さな差を見逃す可能性がありますが、調査目的によっては、小さな差を把握することが重要な場合もあります。もし、競争が激しい市場に属する自社ブランドが、競合ブランドとの認知度差5%pを大したことないと考えて対応が遅れれば、不利になる可能性は十分にあります。
信頼度はどのように決まりますか?
データの解釈を左右するほど重要な信頼度ですが、どのように決められるのでしょうか?幸いなことに、信頼度は自分自身で選択することができます。計算によって算出される値ではなく、「データをこれだけ厳密に見る」という調査者の基準です。調査を終えて結果を確保した後、結果を信頼度80%で見るか90%で見るかを選んで分析すればいいのです。
💡信頼度はどれくらいが妥当なのか?
調査の性質と目的によって、一般的に次のような基準があります。
- 通常、世論調査は信頼度95%で結果を分析します。母集団全体の意識や行動を可能な限り正確に推測するためです。代表的には選挙の世論調査が挙げられます。
- 一般的なマーケティング調査は、それより低い80%や90%レベルをよく使います。小さな違いに注目することで、競合他社よりも早くビジネスチャンスを捉えることができるのです。信頼レベルを高く設定すると、それだけ安定した結果が得られるというメリットもありますが、逆に言えば、誰もが知っている当たり前の結果を得る確率も高くなります。そのため、一般的にマーケティングの観点からは、80%の信頼レベルで小さな違いまで調べることが多いです。
実際のデータ分析に適用してみる
信頼度と標本誤差の概念を理解したら、この2つを考慮してデータを分析してみましょう。Opensurveyのデータ分析ツールであるDataspaceの分析機能では、調査者が信頼度を自由に選択して表示することができます。これからDataspaceの分析機能を活用して、信頼度によって標本誤差と有意なデータがどのように変わるかを確認してみましょう。
以下はワイヤレスイヤホン関連アンケートのデータスペースの分析機能(リンク)です。データスペースは一般的なマーケティング調査に適した80%の信頼度がデフォルトで設定されており、分析の必要性によってサイドバーで90%や95%に直接調整することができます。信頼度を80%->90%->95%に変更すると、サンプル誤差が大きくなることを確認することができるでしょう。

信頼度と標本誤差がデータ解釈に及ぼす影響もで確認してみましょう。先ほど説明したように、信頼度はどのようなデータを有意に解釈できるかを左右します。Dataspaceの分析機能にあるクロス分析表では、設定した信頼度に基づいて、全体に対して統計的に有意な結果を自動的にハイライト表示することができます。有意に高いデータは赤色で、低いデータは青色で表示され、一目で確認できます。
以下は、ワイヤレスイヤホンを使用する状況を性別、年齢別に分けたクロス分析表です。信頼レベルを80%→90%→95%に変更するたびに、赤色、青色で表示される欄が変わるのを確認することができます。信頼度が低いほど色分けされた欄の数が多いです。信頼レベルが低いときは比較的小さな差も有意であると解釈することができ、信頼レベルが高いときは差が十分に大きくなければ有意であると解釈することができます。

データスペースは、統計的な知識がなくても、Excelや専門的なツールを使うことができなくても、誰でも簡単にデータ分析ができるツールです。統計的に有意な結果を自動的にハイライトしてくれて、さらにアルゴリズムでデータの意味を自然言語で読み取ってくれます。どの数字から見るべきか、その数字が本当に意味のある数字なのか悩む手間を省き、より簡単かつ迅速にデータを分析しましょう。
さらにデータ分析を実践してみる
ここまで標本誤差と信頼度とは何か、どのように解釈すべきかについて説明しました。アンケート結果を目的に合わせて分析するのに役立つことを願っています。標本誤差と信頼度が実際のデータ分析の際にどのように適用されるかを直接確認したい方は、下のボタンを押してデータスペースでサンプルアンケートの結果を分析してみてください。
もし、アンケートやデータスペースについて、もっと知りたいことがあったり、自分の目的に適した調査方法を知りたい場合は、無料体験もご利用できます。